デザウマ四国特派員報告 「香川のマルチアーティスト和田邦坊」

デザウマ四国特派員の南さんから待ちに待ったレポートが届きました。てっきりうどんかなと思ったら、先生の本業の「香川のマルチアーティスト和田邦坊」のお話しでした。今回はデザウマのデザインです。
次の写真は和田邦坊作のうどん店山田屋のロゴとパッケージ。


以下南先生の原稿のままです。
私は香川に来るまで知りませんでしたが、香川にかつてこんなマルチアーティストがいました。

香川県出身の和田邦坊 わだくにぼう(1899-1992)は、時事漫画家、小説家、商業プロデューサー、讃岐民芸館館長、デザイナー、画家として活躍した人物です。

代表作はお札を燃やしている船成金の風刺漫画でこれは知っていました。教科書に載っていた気がします。

今回はパッケージデザイナーとしての彼の商品をご紹介したいと思います。
香川の土産物にはなんだか似たような雰囲気があるとは思いましたが、それは同じ人がデザインしていたからです。香川を代表する二大まんじゅう「灸まん」と「かまど」です。

ふたつともよく似ていますが、お灸のような形をしているので灸まん。かまどは塩田の塩づくりに使う竃がモチーフのようです。香川は昔、多くの塩田がありうどん文化を育みました。

どちらもひよこまんじゅうのような味です。どちらが美味しいかは、人それぞれでしょう。どちらも兄弟のようなアイコニックなデザインで統一感があることが相乗効果を生んでいるようにも思えます。印象的なシンボルマークがどちらにもある点もブランデイング的に重要なものであると思います。かまどのお菓子自体のデザインも和田邦坊が色々試して自らの手で凹ましたそうです。そう思いながら食べるとより感慨深いです。

香川を代表する二大まんじゅうが同じ人のデザインというのが香川お土産界に特別な印象をもたらしている気がします。箱のデザインはそれぞれこんな感じです。


栗林公園の栗のイメージした饅頭の「栗林のくり」も和田邦坊デザインです。
こちらは栗が入った饅頭になります。

「うどん本陣山田家」という、うどん屋のプロデュースもしています。
和田邦坊は山田家の創業者である山田潔会長の伯父にあたる親類関係です。

栗林公園の中にある「栗林庵」はお土産ものやさんですが、香川のお土産が一堂に揃っています。栗林公園の絵葉書や、店の前の日よけ幕も和田邦坊のデザインです。


また、今度、和田邦坊の作品が展示されている「灸まん美術館」にも行ってみたいと思います。
香川に来られることがあれば和田邦坊を意識してみてください。

デザウマの南 四国特派員です。

●前回の四国特派員報告は南先生の紹介と香川のうどんレポートでした。

以上が四国特派員の報告です。私はこれを読んで以前にデザウマに書いた喫茶店の珈琲蔵人のロゴを描いた無汸庵 綿貫宏介を思い出しました。今まで日の当たらなかった戦後から復興期の美術作家、デザイナーの仕事が見たくなりました。

 

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